高地性ネペンテス栽培のランニングコストについて(屋外編)

はじめに

前回に引き続き栽培のランニングコストについて書いていく。

屋外での栽培は更なる出費やリスクが伴ってくるのでまるで話が変わってくると言える。


1.冷房代

交配種の場合ミストシャワーとファンだけでも維持は可能だが原種では正直不可能に近い。
丈夫な種類であればまだ騙し騙し成長はさせられるものの、枯れはしないが大きくもならない状態が続きいずれは枯れてしまうだろう。
日中はミストシャワーとファンの稼働、夜間は冷房を使うようなやり方がベストに近いが、この場合は朝と夕に天窓や窓の開閉が必要になる。

ハウス用にエアコンを初めから所持しているケースはまずないのでこれから書いていくが一番弱いものでも40万円以上はする。
設置費もこれにかかるので50万円は考える必要があるだろう。
更に業務用エアコンは3相200Vの動力契約が必要なので農家になるならありだが、まず個人での設置は現実的ではない。
なので100Vか単相200Vエアコンの使用が視野に入るが壁面の設置は出来ないケースが多いので単相200Vの床置きタイプを選定する方が肝要に思える。
これならば10数万円から20万円台で設置可能になる。
3馬力タイプのものであれば温度設定によるが月1万5千円以上かかるようだ。
更にZRW400のような屋外用のアクアクーラーを併用した場合はこれもまた5000円以上かかる為最低でも月2万円以上は覚悟した方が良いだろう。
温室のサイズによってはより負担が大きくなっていく事は間違いない。

2.暖房代

屋外温室やビニールハウスに関しては本州であれば秋から初春までの間は暖房は必ず必要になる。
暖房代は温室の素材や内張りによってもかかるコストが変わってくるが、今回は割愛する。

交配種であっても夜間に10度、丈夫なものであっても5度を切ればダメージが入り始める。
例えば夜中に最低0度になるとした場合これを5度にまで上げたいか10度まで上げたいかによってはかかるコストが倍以上違ってくる。
幸い、ネペンテスは給油が必要になる灯油ヒーターや、温室用温風器のような空間を温める暖房よりは、電熱線のようなタイプのヒーターで鉢下から温める事が出来ればそこまで問題なく栽培できる。
灯油ヒーターや、温風器は前者は温室専用のものならまだしも、後者はネペンテスが育つような環境で使用した場合漏電する危険が非常に高く、使用は推奨出来ない。

一応書いておくと、灯油ヒーターは8万円台スタートで大きな設備になればなるほど大規模で高価なものとなる上に、灯油を定期的に用意する必要や給油用のタンクも必要になる。
また、電気式の温風器は1坪用でも4万円台、電気消費量が500W、1000Wに切替出来るが、電気代は1台でも月1万円は平気で超えてくる。

電熱線は外付けのサーモスタットが必要になる事と、サーモスタットを取り付ける場所によってかかる電気代が変わってくる。
また、マットタイプや棚下に配線するタイプなど様々であるが一坪用でも100W、2坪でも500W程とかなり電気代が抑えられる。

3.照明代

日当たりが全くない環境を除けば補助でのLEDの点灯は必要ないだろう。
夏季になるべく遮光して冷房代がかからないようした方がコストは抑えられるはず。

4.その他

屋外での栽培となると、病虫害のリスクは室内での栽培とは比較にならない程跳ね上がる。
定期的な農薬の散布は確実に必要であるし、室内よりも規模は大きくなるので薬剤もその分多く必要になってくる。
管理する手間や時間も多くなるという事を念頭に入れるべきだろう。

5.まとめ

今回は栽培に必要な最低限の初期投資を省くが、エアコンやヒーターの設置がされている場合でも最低年間15万円以上栽培にはかかる。
あくまで一坪での維持なのでより大きな設備では倍以上必要になる。

栽培規模が小さく、どうしても外で育てたい場合でも夏の間は室内に取り込んでエアコンの効いた室内に入れておいた方が楽だろう。


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