高地性ネペンテス栽培のランニングコストについて(屋内編)

はじめに

植物の栽培と言うからにはランニングコストは必須であり、ネペンテスは多年草に当たるため当たり前だが育てれば育てるほど出費が必要になる。

大なれ小なれこれを減らすことは可能であるがゼロには出来ない。
栽培をするにあたっては出費を避けることは不可能であるのでこれらの試算を行う事は事前にした方が後々楽だろう。

正直に言えばこの出費をかけたくないのであればより育てやすい種類や交配種の栽培に移行することを強く勧める。

また、あくまで今回はランニングコストの話題なのでネペンの苗の価格については割愛する。

1.冷房代

これが高地性ネペンの栽培に関しては一番ウエイトが重い。
軽井沢のような避暑地や北海道等の夏季でも気温がそこまで上がらない地域に於いても、ひと月以上は最高気温が30度を超えるので室内の気温がそれ以上になる可能性は高く、室内の栽培では必ず必要になるだろう。
季節によっては窓の開け閉めで~と言った話もあるがあくまで降雨やいきなり高温になったりするリスクを考えれば現実的ではない。
本州では猶更で締め切った室内であれば40度以上になる事は確実である。
このような環境では高地性の植物はおろか熱帯の観葉植物でも枯死するので環境を整える必要が出てくる。

栽培で使用する冷房はアクアクーラーや冷蔵庫のようなものははっきり言って必要ない。
春から夏季、秋まではエアコンの使用で十分に成長が望める。
日本の平均的な部屋の大きさは6畳とされているので今回は6~8畳と想定して考える。

当初からエアコンの設置がされている場合なら考えなくても良いが、エアコンがない場合も考えられるので設置コストから考える。
今回の場合は6~8畳用のエアコンで十分であるので工事費込みの機種でも7万円から上位機種でも20万円で設置可能だ。
設定温度はここ数年の実験結果から言えば1日中一定温度で良い。
熱を放つような照明を使用しなければ栽培スペース23度設定で確実に育つ。

冷房の稼働開始時期は安全の為一日の最高気温が25度になるより前に行う。
本州の場合は4月中旬から掛け始めていれば問題なく、エアコンを止めるのも10月中旬頃までは動かしておくのが良い。
この場合最低でも半年の稼働は必要になる。

エアコンの電気代に関しては部屋の向きや断熱材、窓の大きさによって変わってくる為断定は出来ないが月7000~9000円台で落ち着く。
この為冷房代だけでも年間5万円は必要だ。
アクアクーラーを使った栽培法もあるが結露やクーラー本体からの発熱もある為エアコンの併用は必要になるのでよりコストはかかる。

2.暖房代

本州の関東以南の室内であれば高地性ネペンの栽培に関しては暖房代はほぼかからない。
高地性でも原種の一部種類は最低気温が低いと調子が崩れるのでヒーターの使用をした方が良いが、大体は室内気温が10度を切らない限りはダメージが出るものは少ない。

3.照明代

LEDが普及するようになってからはある程度改善されたもののネペンの日照の要求量はそこそこある方であるなので電気代は勿論かかる。
照射距離が肝心だが50WクラスのLEDあれば十分なのでこれ一つを12時間稼働させるとひと月400円は必要になる。
それが栽培数によって増えるので年間だと5000円~数万と言った事になる。
窓辺からの太陽光を利用する場合は多少減るが逆に冷房代はかかる。
西日などが当たる部屋の場合は遮光や断熱を積極的に行わないと部屋の温度が上がりやすくなってしまうだろう。
高地性の栽培に関しては蛍光灯やメタハラのような光線に熱が多く含まれるようなものを使用するメリットはない為省く。

4.その他

栽培が長期化すれば植え替えに使う鉢に用土や農薬も勿論かかってくる。
それこそ栽培する数によって変わって来るが定期的な農薬による殺菌や植え替えも欠かせない出費である。
これは人によって来るので数値化は難しいが最低数千円以上はかかってしまう。

5.まとめ

今回は栽培に必要な初期投資を省いているが、エアコンの設置がされている場合でも最低年間6万円以上栽培にはかかる。
実際には更に他の機器等で電気代がかかってきたりする。
10年20年と栽培できる人間はまずいないが、最低限の設備でこれだけの出費が必要になる。
勿論上記に上がっていることをしないで栽培出来る、と言う人もいるだろうが他の面でそれ相応のコストがかかってしまうと考えられる。
あくまで一個人の勝手な試算に過ぎない話でもあるが参考にはなるだろう。


コメント