ネペンテスは他の食虫植物と比較しても、殺菌剤や殺虫剤等の農薬に強い方ですが、使い方を間違えればもちろん苗に悪影響が出てしまいます。
同じ殺菌剤を連続して使用したりすると、それらに耐性を持った菌の発生が起きてしまい、効果が得られなくなってしまう事がありますので、必ず同じ作用の農薬を連続して使わず複数種類でローテーションを組むようにしましょう。
基本の使い方
基本的には既定の濃度まで希釈してスプレーで植物体に満遍なく噴霧します。
フラスコ苗の植え付けや挿し木、苗の植替えの際には用土もドブ漬けして殺菌しておくと良いです。
散布の時間は夕方から夜の間行います。
朝や昼間に散布してしまうと付着した農薬が乾ききらずに温度が上がってしまい、薬害を引き起こしてしまいます。
一度散布したら、必ず一夜かけて葉を乾かします。
この間水をかけたり加湿器を稼働させたりすると植物体に付いた農薬が流れてしまい効果が得られません。
散布時期
1か月~2か月に1回の散布を心がけるべきなのでしょうが、真夏や真冬での散布はかえって逆効果になってしまう可能性もあります。
なので、最低でも季節の変わり目の前に散布するのが病気や植物の状態維持に役立ちます。
つまり、梅雨前の雨が多くなる前のタイミングや、夏の暑くなる前、秋の寒くなり始める前の気候が変わり切って環境が変化してしまう前にあらかじめ殺菌しておく事が大事でしょう。
こうしておく事によって、程度の病気の予防や、環境の変化が原因の成長の低下によって菌が増えすぎてしまう事を抑えることが容易になります。
次に何種類か殺菌剤の紹介をしていきます。
今回はどの病気にはこれ、というよりはローテーションに入れる選択肢として挙げていきます。
ベンレート
系統:ベンゾイミダゾール系
希釈倍数:2000倍
臭い:少ない
病原菌の細胞分裂を妨げる作用があります。
浸透移行性(植物体の中に入って一定期間作用する)もあり、複数種類の病原菌に効果的です。
一度散布すれば2か月は効果が続くと思えば良いです。
用土の殺菌にも効果的です。
トップジンMとは同じ系統なので連続して使用は出来ません。
ダコニール
系統:有機塩素系
希釈倍数:1000倍
臭い:少ない
病原体の酵素に作用があります。
広範囲の病原菌に効果があるのと、薬液と水に溶かして散布できるので使いやすいです。
アグリマイシン100水和剤
系統:オキシテトラサイクリン・ストレプトマイシン
希釈倍数:1000倍
臭い:少し臭う
いわゆる抗生物質です。
広範囲の植物性細菌病に効果があります。
効果が見られるのは軟腐病や葉枯れ病、黒脚病等ネペン自体が細菌にある程度強いようで感染例の少ない病気が多いですが、ローテーションには入れておいた方がよい為挙げています。
ジマンダイセン水和剤
系統:ジチオカーバメート系
希釈倍数:1000倍
臭い:少し臭う
病気の治療に使う薬ではなく、カビの胞子の発芽を抑制し、植物に病原菌が侵入してこないようにするタイプです。
広範囲に作用するのでよく使えます。
オーソサイド水和剤
系統:キャプタン水和剤
希釈倍数:1000倍
臭い:かなり臭う
浸透移行性があり、総合的に使える殺菌剤です。
少し効果が強いようで薬害が出る可能性があります。
臭いもかなり強く室内での使用はあまりお奨めしません。
フロンサイド水和剤
系統:フルアジナム
希釈倍数:2000倍
臭い:かなり臭う
浸透移行性はないですが残効性が高く予防として使えます。
これも臭いがあります。
ローテーションに入れておく分には効果的でしょう。
まとめ
上に挙げた農薬はネペンテスに使用した事があるものです。
今の環境では病気を出した事が無い為あまりはっきりとした事は言えませんが、予防の面では農薬の散布は効果が出ているのではないかと考えています。
最後にまとめていきますと
- 同じ農薬や近い系統の農薬を繰り返し使わない(ローテーション使用)
- 散布したら葉に付いた農薬を必ず乾かす
- 暑い昼間に散布しない(28℃以上は注意!)
- 病気や調子を崩す苗が出やすい季節が変わり目の前に散布する
- 人体に悪影響なものも多いので取扱いにはくれぐれも注意すること
以上を気にすれば苗の状態をより健康に保ちやすくなると考えています。
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