栽培設備について


温湿度の管理は植物の栽培に関しては非常に重要です。
結局のところは種類に合わせた管理をしていかないといけないので一概にこうといった事はありません。

とは言え人間の居住環境、とりわけ日本は乾燥している時期が多く人口の密集している所は更にその傾向が強いので最低限度の過湿や保湿は必要になります。

その為熱帯の植物を栽培する場合は室内や屋外にそのまま置きっぱなしにするよりは温室等の設備に入れて管理した方が簡便で長期的な栽培を可能にします。

簡易ビニール温室

~半坪位まで

市販のフレームを組み立ててビニールを被せて使うタイプの商品です。
保湿は多少出来ますが、密閉出来ているとは言えないレベルなので加湿しない限り水分は逃げていきます。
大きさもさほど大きくないので、日光に当てれば温度が急激に上がりやすく内部はかなり高温になります。

価格もかなり安い方なので選択肢に入れる方が多いですが温度や湿度管理が難しく、水遣りをするにもジッパーの開け閉めが必要なのでお奨めしません。
また、フレームもとても簡素で丈夫なものではなくあまり重たい鉢を何個も置いていると崩れる危険があります。
ビニールも耐候性が少なく劣化しやすいので、2年も使えるものではない事を認識しておいた方が良いです。

ビニールで覆っているとは言っても中身は乾燥しやすく害虫も発生する可能性がありますので注意が必要です。

ビニール温室

一坪~

今回の場合は上記の簡易なものより大きな、一坪サイズ以上のものを便宜上こう呼びます。
流石にこのサイズとなると屋外での設置が基本になります。
一坪以上になれば温度も急激には上がらないですが、それでも閉めきっていれば真冬でも晴れの日は30度近くまで上がります。

夏は風通しを良くする為に側面を開ける、冬は閉めきって加温もする必要があります。
外ですので夏から秋にかけては害虫が付きやすいです。

また温室用のビニールは1年以上使用すると紫外線等で劣化して透光性が悪くなります。
物理的にも弱くなり穴が開きやすくなるので定期的な交換が必要です。

台風等の強風や大雪での飛散や倒壊のリスクがある事も考えておいた方が良いです。

初期投資は安く済みますがビニールの定期的な交換を考慮するとランニングコストがかかります。
また暖房代がかかる事や夏は温度がかなり高くなることを留意するべきでしょう。

ガラス温室(ポリカ温室)

半坪~
アルミのフレームにガラスやポリカーボネートのような透光性の高い素材を使用した設備になります。
価格はどれも高い事と、設置には組立等の施工が必要になります。
その為撤去する場合も手間やゴミが多く発生します。

ビニールハウスよりは頑丈で耐候性もありますが、台風対策は勿論万全にしておく必要があります。
外に置いている分ガラスやポリカにホコリ等のゴミが付きますので定期的に清掃しましょう。

コンセントの引込等の電気的な設備も設置しやすく、長期的な栽培には向いています。
温度管理についてはビニールハウスと同様にする必要があります。

ガラス温室よりポリカ温室の方が少々高価になりますが軽量であること、破損の危険性や耐候性、多少の断熱性向上が見られます。

ワーディアンケース

~半坪
ガラス温室よりも小型で屋内外に設置する為の小型温室です。
大型の温室に比べれば数万円で購入出来るので導入はしやすいです。
分解された状態で販売されているので組立が必要になります。

アルミのフレームにガラスがはめ込んであるだけなので湿度は見た目ほど保てません。
また、ガラスなのでヒーターの熱も逃げやすいです。
使用しない側面は断熱材を張っておくと温度を均一に保ちやすいです。

そこまで大きくない為太陽光が直接当たると温度が急上昇しますので、遮光や冷房、必要によってはケースの扉を開けたりしないといけません。

背は180センチ程と余裕があるので大きめの苗もすんなり入ります。

水槽

ガラスやアクリル製のものが市販されています。
サイズも様々なものがありますが、重量があります。
値段も様々ですが、アクリル製や大型の水槽は高価です。

勿論落としたりして破損した場合は割れたり怪我をする危険もあるのであまり高い場所への設置はしない方が良いです。
蓋の用意や加工が難しい事も挙げられます。
これらも側面に断熱材を張ると効果的です。
ガラス水槽は性質上結露しやすい事も留意した方が良いです。

背が低いものが多いので大きい苗や伸びた苗を育てるのには向きません。

衣装ケース(PE)

1000円位のものから3000円位のものまでまちまちですがあまり安いものは窓辺の日の当たるところに置いているだけでも1年位で割れてしまいます。

蓋も最初から付いていますので照明がそのまま置けたりします。
密閉は出来ていませんがある程度の通気も生まれるので都合が良いです。
通気の調整やヒーター等を入れる為の穴あけ加工もしやすいです。

不透明で外からの視認性が悪いですがその分太陽光や人工照明を拡散してくれる効果があります。

容量が大きくない分太陽光が当たるとすぐに内部の温度が上がってしまうので遮光や置き場には十分注意が必要です。

水槽と同様に背が低いので、大きくなった苗はより大きな設備に移さないといけません。

まとめ

  • ビニールは劣化しやすくガラスは割れる危険性や温度の偏差が出やすい
  • ポリカやPEは視認性は悪いが前者よりは扱いやすい
この位の認識で良いです。
設備によって金額の差がかなり出る事や見た目は一番気にする方も多いので、こればかりはどれが一番とは言い辛い所です。

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