高地性ネペンの地域ごとの分類について

一概に高地性ネペンと言っても全てがすべて同じような環境に自生している訳ではありません。
 同じ島内や山でも同じことが言えてしまいますが、指標にはなりますので今回はざっくりとした地域別で書いていきます。
高地性のネペンテスが自生しているのは大体5つ地域で分ける事が可能です。

  1. 青    ボルネオ
  2. 黄    スマトラ
  3. 紫    スラウェシ
  4. 赤    フィリピン
  5. 緑    ニューギニア
どの地域の種類も特徴や気質が違っており、隣の島でも勝手が変わってくる印象です。

ボルネオ

主な自生地:キナバル山、トンブユコン山、トラスマディ山等

基本的に大型の種類が多く、ピッチャーや植物体が硬いものが多いです。
根もよく張るものばかりなので最終的には大きな鉢や容器が必要になると言えます。
ビロサのような種類を除けば、全体的に強健で育てやすい種類が多いですが病虫害、特に害虫からの食害に弱いです。

スマトラ


主な自生地:西スマトラ

丸型や漏斗状といったような非常にユニークなピッチャーをした種類を内包しています。
葉が薄めで、ひょろひょろとした植物体のものが多いです。
根が張りづらく弱いものが多いので用土の水分管理に気を使わないとたちまち弱る種類ばかりです。
とにかく用土の温度上昇に耐えられませんので要注意です。
全体的に直径は大きくならない方ですが、徒長して伸びる種が多いので栽培スペースの高さは必要になります。

スラウェシ

主な自生地:ルムット山、カトパサ山等

種類こそ少ないですが非常に印象深いピッチャーをしているものばかりです。
成長が速く育てやすい種類が多いですが、どれも暑さや寒さに対する耐性が少ないです。
植物体がそこまでがっしりとしていない種類ばかりで害虫にも弱いです。

フィリピン


主な自生地:パラワン島、シブヤン島、ミンダナオ島

小さい島々によって気候や立地が異なるため、自生地によってピッチャーの形や植物体の特徴が異なります。

ミンダナオ島の種類はどれも育てやすく大型化するものが多く、
シブヤン島の高地性種は非常に小型のアージェンティが自生しています。

パラワン島はミラやアッテンボロギ等の砲丸状や円錐形のようなピッチャーをしたものが多いです。
中でもパラワンのネペンテスは癖が非常に強い種がいくつかいるので栽培には骨が折れます。

ニューギニア

主な自生地:イリヤンジャヤ

ラミやクロッシーのような非常に自生地が限られた種ばかりです。
クロッシーは非常に丈夫で冷房さえあれば特に問題なく栽培出来ます。
対してラミは3000m以上の高地に自生しているため栽培は冷房があっても非常に難しいです。

最後に

栽培に関してはどれも個人的な感想ですので参考程度に考えていただければ結構です。
中には開発で自生地が消滅したり、採り尽くされて自然ではほぼ絶滅してしまった種類がいくつもあり、今後も増えていくことでしょう。

幸い、私たちは種から無菌培養されたクローン苗が定期的に流通しているおかげでこれらの非常に希少な苗を育てる事が可能となっています。
悲しい事に、そうでない苗も日本国内や海外でも出回っているのが現状です。

これらの植物を育てる上では個々の種類の知識に関してはともかく、様々な取り巻く環境
についても深く考えるべきでしょう。

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